実践!哲学教育ノート

「過去・今・未来」ってどう違う?:子どもたちと「時間」を哲学する対話の授業実践例

Tags: 哲学対話, 時間, 概念, 思考力, 対話力, 小学校

はじめに:子どもにとって「時間」を考えること

子どもたちにとって、「時間」は非常に身近でありながら、捉えどころのない抽象的な概念です。「きのう」「きょう」「あした」といった具体的な出来事を指す言葉としては使いますが、「時間そのもの」が何であるか、あるいは「過去」「今」「未来」がどのように繋がっているのかを深く考える機会は少ないかもしれません。

小学校の教育活動では、時刻を守る、計画的に学習を進める、といった形で「時間」に関わることが多くあります。しかし、哲学的な視点から「時間」を問い直すことは、子どもたちの「見えないもの」や「当たり前」を問い直す力、そして共に探究する対話力を育む上で有効です。

本記事では、小学校で子どもたちと「過去・今・未来」という切り口から「時間」について考える哲学対話の授業実践例を紹介します。

なぜ、「時間」について哲学対話を行うのか

子どもたちが「時間」について哲学対話を行うことには、いくつかの意義があると考えられます。

哲学対話の進め方:「過去・今・未来」をめぐる探究

ここでは、「過去・今・未来」をテーマにした哲学対話の具体的な進め方の一例をご紹介します。対象は小学校中学年から高学年を想定していますが、問いかけや導入を工夫すれば低学年でも実施可能です。

ステップ1:導入・問いの設定(10分)

授業の冒頭で、子どもたちが「時間」に意識を向ける導入を行います。

ステップ2:対話の進行(30分〜40分)

中心となる問いを中心に、子どもたちの考えを引き出し、深めていきます。対話の進行役(多くは先生)は、特定の答えに導くのではなく、子どもたちが自由に発言し、互いの意見を聴き、考えを深められるように促します。

ステップ3:振り返り(10分)

対話を通して気づいたこと、考えたこと、難しかったことなどを振り返ります。

実践のための準備とポイント

成功・失敗から学ぶ

失敗から学ぶことは多くあります。問いが子どもたちの関心に合っていたか、先生は聴き役に徹することができたか、話しやすい雰囲気だったか、などを振り返り、次に活かすことが重要です。

多忙な現場でも取り入れる工夫

授業時間を十分に確保するのが難しい場合でも、工夫次第で哲学対話の要素を取り入れることができます。

おわりに

「時間」というテーマは、子どもたちの日常の中に常に存在しながらも、その概念を捉え直すことは新鮮な驚きや気づきをもたらします。「過去・今・未来」をめぐる哲学対話は、子どもたちが自分自身の存在や世界との関わりについて深く考える豊かな機会となります。

すぐに正解が出ない問いについて、友達と共に考え、語り合う経験は、子どもたちの思考力や対話力を育む基盤となるでしょう。ぜひ、子どもたちの「時間」に対する素朴な疑問や不思議に耳を傾け、探究の対話を始めてみてください。